一般社団法人
協創リハビリテーションを考える会
脳卒中片麻痺患者の上肢機能障害に対するリハビリ技術の進展・普及に期待
脳卒中片麻痺患者の上肢機能障害に対するリハビリテーション技術の開発が進められています。
片麻痺や肩関節に障害がある患者にとって、上肢のリーチングは日常生活をしていくうえで、悩ましい大きな課題となっています。しかし、促通反復療法(川平法)の促通機能が組込まれたリーチングロボット(安川電機)を用いた治療訓練が、有力な治療手段となりつつあります。
その訓練内容は、促通療法による自動運動の増大、他動運動の減少、リーチング回数の増加へと繋がり、20分間で大きな効果が期待できるといいます。実際にこのロボットの導入は医療機関でも拡大しつつあって、既にこのロボットを導入し訓練を実践している日本医科大学千葉北総病院リハビリテーション科を訪ねてみました。
その装置を装着してみると、
・患者の運動能力に合わせ、上方からのワイヤーによる吊り上げる力の調整で、腕の重量を
適切に免荷することによって、筋力の弱い患者でも容易に反復訓練ができるようになる。
・運動と同期して動作時の筋肉に電気・振動刺激が与えられることで、意図する自動運動を
さらにしやすくなる。
・目標物を見て(視覚刺激)、目標到達を音で確認でき(聴覚刺激)多くの感覚刺激をうけ
ながらの訓練になる
ということが実感できます。
訓練は、手を伸ばすだけでなく、訓練目標物のスイッチの配置を変更し、口元にもってくる、髪をとかすなど、6つのパターンが用意されており、患者に合わせて難易度を調整できます。
出展:安川電機
https://www.yaskawa.co.jp/newsrelease/product/34256
実際に訓練を担当する豊栄作業療法士(日本医科大学千葉北総病院リハビリテーション科)は、「先端リハビリ機器の活用にあたっては、単にロボットを作動させるのではなく、患者の一人ひとりの状態を踏まえた評価が大切である。それに応じた適切な負荷など設定が重要であり、医師との綿密な連携が重要。」とし、また「患者の状態を共有し、上肢の治療であっても総合的に機能向上を目指す観点からチーム医療はかかせない」と話しています。
このような先端技術を活かした治療が、必要とする人に届くよう、一層、提供機関や関係者の理解が進み、普及が進むことが望まれています。
上肢リハビリ装置 CoCoroe AR2(安川電機)
ロボットAR2訓練による片麻痺上肢機能とリーチングの改善
https://kawahira.org/informations/7882/