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Question

 『運動失調』とはどのような症状のことを指しますか?

小脳出血と診断され、「運動麻痺は生じていないが”運動失調”という症状がある」と言われました。手足を動かすことは

できるのですが、動こうとすると体が揺れてしまい、歩く時にバランスを崩してしまいます。なぜこの様な症状が起こるのでしょうか?

Answer

◆『運動失調』とは

脳梗塞や脳出血などを発症した際、多くの方にみられる症状として運動麻痺と呼ばれる症状があります。

運動麻痺は、筋肉を意識的に動かすために必要な神経が損傷されることで、手足を自分の意志で動かすことが出来なくなってしまう症状です。

それに対し、運動失調とは「運動麻痺がないにも関わらず、筋が協調的に働くことが出来ず、円滑に姿勢保持や運動・動作が遂行できない状態」のことを指します。

意識的に手足を動かすことはできるのですが、運動時に手足が震えてしまい動きをコントロールできず、滑らかな動きが苦手となります。また、立っていても姿勢保持を上手くコントロールできないために、前後左右に揺れやすく、歩行時の転倒リスクが高いという症状が見られます。

運動失調症状が強く出現すると、特に立位で行う動作や歩行などの場面において、自立した動作が困難になる場合があります。

運動失調は、その病巣により小脳性・脊髄性・前庭性・大脳性の4つに分類されます

ここでは、質問にあったように、小脳性の運動失調について記します。

◆『小脳性運動失調』とは

小脳は、大脳の下に位置する小さな脳です。小脳は脳全体の10分の1程度の大きさながら、その中には脳の神経細胞の約半数が含まれていると言われています。つまり、小さいながら、人にとって重要な役割を持っているということを表しています。

小脳の主な役割は、運動をスムーズに行う為に必要となる、姿勢の調整、バランス感覚の維持、動作を行う際に必要な筋力の発揮をコントロールする調節機能などです。

小脳の構造は、左右の小脳半球と中心の虫部、片葉小節に分けられています。どの部位が損傷を受けるかにより、出現する症状は

異なります。

 

①小脳半球

手足の運動協調に関わる部分で、この部位が損傷されると、測定異常(手を目的物に伸ばした時に目的物を超えてしまう、あるいは届く手前で止まってしまう現象)、運動分解(関節運動が一つ一つ分解されてしまい、滑らかさを失う動きとなる現象)、反復拮抗運動不能(手の平を上に向けたり下に向けたりするような切り替えの運動がスムーズにできなくなる現象)などの症状が出現します。

 

②虫部

体幹や歩行機能、平衡に関わる部分で、この部位が損傷されると立位を保持することが困難になり歩行のリズムも崩れます。この時の歩行の特徴として両足を大きめに開いた状態で歩くwide-baseがあります。これは、バランスの崩れを防ぐための防御的反応であり、虫部の損傷をした方の多くに見られる現象です。また、バランス能力が低下するために、一直線上を継ぎ足で歩くことが困難となります。

 

③片葉小節

この部位は平衡感覚(バランス機能)や眼球運動に関わる部位で、この部位が損傷されると、バランス機能の低下や眼振(無意識に眼球が揺れてしまう現象)などの症状が出現します。

小脳は、脳出血の中で4番目に頻度の高い出血部位です。また、脳出血の中で5番目に多い出血部位である脳幹の一部である”橋”という部位が出血した場合も運動失調が生じることがあります。これは、”橋”と小脳が神経線維で連絡をしているからです。

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