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Question

 『片麻痺』はどうして起こるのですか?

脳卒中を発症すると、『片麻痺』になる人が多いですが、中には片麻痺がなく社会復帰されている方も見かけます。片麻痺が生じる人と生じない人、または軽度の人、重度の人がいますがそれはなぜですか?

Answer

 

◆『片麻痺』とは

片麻痺とは、左右どちらかの片側の半身(腕~足を含め)に運動麻痺が生じた状態を指します。いわゆる半身不随のことを片麻痺と呼びます。

脳梗塞や脳出血など、いわゆる脳卒中を発症すると多くの場合片麻痺が生じ、この片麻痺による後遺症に悩まされる方が多くいます。

では、なぜ片麻痺は起こるのでしょうか?

◆『片麻痺』はなぜ生じるか

通常、人は意識的に自分の思った通りに体を動かすことができます。つまり、筋肉を自分の意思で動かすことが出来ていると言い換えることができます。では筋肉を自由に動かすために必要なものとは何でしょう。それは神経です。私たちが手足を自由に動かすには運動神経と呼ばれる神経が正常に働いている必要があります。運動神経は脳の運動を司る部分を出発点とし、それぞれの筋肉に到達するまで通り道(経路)があらかじめ決まっています。

この脳から筋肉に到達するまでの運動神経の通り道に何らかの障害が生じた場合、運動麻痺が起こります。運動神経の経路は脳の中の錐体と呼ばれる部分を通ることから、錐体路とも呼ばれており、この錐体路は頸髄(脊髄の上方部)上部から延髄(脳幹の一部)下部の辺りで交叉します

 

そして、脊髄まで下行し、そこから神経はそれぞれの筋肉へ分布していきます。錐体路とは、脳から脊髄までの通り道のことを指します。運動神経は交差して下行してくるため、左の脳からの運動命令は右の手足へ伝わり、右の脳からの運動命令は左の手足に伝わります。

脳梗塞や脳出血を起こし、錐体路のどこかに障害が及ぶと障害した脳と反対側の手足に麻痺という症状が現れます。これが片麻痺の起こる原因です。

運動麻痺を起こすと、自分の意志で思うように手足を動かすことが難しくなります。しかし、その麻痺の程度は障害の大きさや錐体路がどの程度損傷されたかにより異なってきます。

 

そのため、脳梗塞や脳出血を起こしたからといって、必ず片麻痺が起こるとは限りません。障害の場所によっては運動麻痺が出現しないこともあります。

例えば、後頭葉などが障害されると、視野障害が生じることが多いですが、運動麻痺は生じないことが多いです。

それは、後頭葉には視野に関わる神経が存在し、運動神経がないからです。

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