今日は『目標の共有』について思うことについて書いていこうと思います。
リハビリテーションを提供する上で、療法士は目標を大事にします。
養成学校で臨床実習に出る際、目標設定の大事さは口をすっぱく学校の先生や実習先のスーパーバイザーに言われます。
おそらく、多くの療法士がそうだと思います。
なぜ目標を大事にするか?
それは、当然のごとく目標設定をしないと自分が提供しているアプローチが最終的に何に繋がるのかがわからなくなってしまうからです。
対象者と目標を共有して同じゴールに向かい、その上で段階付けしたプログラムを提供していくことを療法士は常に意識しています。
しかし、この目標の共有というのが簡単なようで難しい。
出来ているようで本質的に出来ていないケースも実際の臨床では多くあるのではないかと思います。
例えば、50代女性左利きの方が脳出血を発症し中等度の左麻痺を呈したとします。
情報収集・ヒアリングなどをしていくと、その方は元々主婦であり退院後は主婦の役割をまた担いたいと思っている。
すごく簡易的な例にはなりますが、この場合、長期的な目標はやはり主婦業の復帰ということになるかと思います。
これは、間違っているわけではなく、主婦業をまた担えるのであればQOLとしても向上しますので、目指すべき目標かと思います。
ここまでは、対象者と療法士で目標共有できているはずです。
しかし、実際の臨床現場ではどこかで両者の間に乖離が生じることが少なくありません。
おそらく、この目標を見据えた上で、どのタイミングでどういったリハビリ内容を行うか、段階付けて次のプログラムに移行していくのかという部分の共有がおろそかになりやすいのではないかと思います。
例えば回復期病院では、まず安全に自宅へ帰る事がどうしても第一優先になります。
入院期間が決まっている以上、決められた入院期間内にADLの向上、IADLの向上を目指さなければなりません。
しかし、回復期の段階でADL訓練を積極的に行うことに対して、対象者はその介入を今行うことに「早い」と感じるかもしれません。
機能的にも向上する可能性が高い回復期に生活指導やADL訓練を積極的に行うことで、「回復を諦められている」と感じることもあるでしょう。
だからといって、退院ギリギリまで機能訓練ばかり行うことが得策ともやはり思えません。
結局のところ、大事なのはコミュニケーションであり、もっと深い部分まで共有して互いに日々リハビリが出来ているかということだと思います。
対象者の方は病気を発症し、今後のイメージが湧かないので言われるがままに陥りやすいです。
療法士は患者の立場になったことはないので、自分が良いと思ったことに突き進んでしまいがちです。
お互いがもっと意見を交わしながらリハビリが出来ると、リハビリの質も高まり回復の程度も変わるかもしれませんね。
自分への戒めも込めてそんなことを感じました。
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