​運動麻痺~錐体路障害~について

通常、人は意識的に自分の思った通りに体を動かすことができます。つまり、筋肉を自分の意思で動かすことが出来ていると言い換えることができます。では筋肉を自由に動かすために必要なものとは何でしょう。それは神経です。私たちが手足を自由に動かすには運動神経と呼ばれる神経が正常に働いている必要があります。運動神経は脳の運動を司る部分を出発点とし、それぞれの筋肉に到達するまで通り道(経路)があらかじめ決まっています。

この脳から筋肉に到達するまでの運動神経の通り道に何らかの障害が生じた場合、運動麻痺が起こります。運動神経の経路は脳の中の錐体と呼ばれる部分を通ることから、錐体路とも呼ばれており、この錐体路は頸髄(脊髄の上方部)上部から延髄(脳幹の一部)下部の辺りで交叉します。そして、脊髄まで下行し、そこから神経はそれぞれの筋肉へ分布していきます。錐体路とは、脳から脊髄までの通り道のことを指します。運動神経は交差して下行してくるため、左の脳からの運動命令は右の手足へ伝わり、右の脳からの運動命令は左の手足に伝わります。

脳梗塞や脳出血を起こし、錐体路のどこかに障害が及ぶと障害した脳と反対側の手足に麻痺という症状が現れます。これが片麻痺の起こる原因です。

運動麻痺を起こすと、自分の意志で思うように手足を動かすことが難しくなります。しかし、その麻痺の程度は障害の大きさや錐体路がどの程度損傷されたかにより異なってきます。そのため、脳梗塞や脳出血を起こしたからといって、必ず片麻痺が起こるとは限りません。障害の場所によっては運動麻痺が出現しないこともあります